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顎変形症の手術|下顎枝矢状分割法(SSRO)のアフターケア・失敗なども紹介!

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顎変型症の手術「下顎枝矢状分割法(SSRO)」

自由に動く下顎を切除するのが顎変型症の治療の一般的な手術方法です。その中でも一般的なのが下顎枝矢状分割法(SSRO)と言われる施術になります。下顎の骨を分割して前後の張り出しを調整します。その術式には注意すべきことがいくつかあります。今回はそんな顎変形症の手術法である下顎枝矢状分割法(SSRO)について紹介していきます。

顎変型症とは

普段何気なく開けている口はあごの骨が動いていることで成り立っています。そして、あごは上顎骨と下顎骨で出来上がっています。上顎骨は頭蓋骨の一部になっているので動かすことができません。そのため下顎骨だけが耳の付け根あたりを支点として広げることができます。

その上顎骨と下顎骨の変形によっての噛み合わせが合わない状態を顎変形症と言います。一般的に上顎骨が前に出ている状態は出っ歯と言い、下顎骨が出ている状態は受け口と言います。また、左右が非対称の場合もあります。

顎変形症になると、見た目の悪さだけでなく噛み合わせが著しく悪くなり話しづらいことや頭痛の原因になることもあります。また、寝ている時に睡眠時無呼吸症候群の原因になるおそれもあります。

治療方法は、器具をつけることによる矯正では十分に形を変えることはできないため、外科手術が一般的です。骨を切ったり、削りとったりすることで形を整える手術になります。

下顎枝矢状分割法(SSRO)とは

顎変形症の中で下顎がずれているものを下顎前突症と言います。その出っ張っている下顎を矯正するために行われる手術の1つが下顎枝矢状分割法(SSRO)です。SSROは下顎の顎変形症では一般的な手術になります。

SSROの施術は下顎の奥歯の下あたりで前後に分離し、そこで削って短くするか前にずらして固定するという方法で行われます。固定にはチタン製のプレートや取り外す必要のない吸収性のプレートを用います。手術自体が口腔内から行われるので術後に跡が残らないので安心です。

ssroの特徴は骨の内部にある神経を温存することができる手術ということです。顎変形症は骨を切る手術が必要で、その時に神経をできる限り温存することは術後の生活のクオリティーが変わってきます。下顎骨をずらすことができるので微調整がしやすいことと固定後の骨の癒合が比較的早く済むことが特徴です。

また、骨の癒合が早いことで術後の戻りがほとんどありません。そのため顎変形症の再発の恐れが少ないので安心です。

下顎枝矢状分割法(SSRO)のアフターケア

下顎枝矢状分割法を行なった後は、硬いものを噛むことができないため流動食などの柔らかいものを食べます。あまり強い力をかけると骨が変形したり、つけているプレートが壊れる恐れがあります。癒合が完了してしっかりと力がかけられるようになるまで医師と相談して食事を制限していきます。

また、下顎枝矢状分割法の手術を行なった後に発生する恐れのある副作用がいくつかあります。例えば知覚異常です。これは術中に骨を切断する際に神経に触れてしまい、感覚が鈍くなってしまうことです。多くの場合は自然治癒しますが、1年ほど症状が残ることもあり、この症状を和らげるために投薬やレーザー治療が行われます。

顎変形症は顎関節症を併発しているおそれもあります。基本的にはあごの関節部分の問題で、動かすことで痛みを感じたり、動かなくなる恐れがあります。顎変形症になると顎骨には大きな負担がかかります。そのため下顎を支えている部分である関節に不具合が生じます。手術後は関節にも大きな負担がかからないように考慮します。

下顎枝矢状分割法(SSRO)の失敗・修正

下顎枝矢状分割法を施したあごに新たな問題が生じることがあります。場合によっては、再手術などが必要となることもあります。例えば後戻りです。手術した方向と逆の方に戻ってしまう現象です。修正した部分が元に戻ることがないように術後の矯正が必要となります。

また、顎変形症を手術したのにまた噛み合わせが悪くなる恐れもあります。進行性下顎頭吸収と呼ばれる症状で、骨の体積が減少することが原因で発生するとされています。術後にあごに負担をかけないように治療計画を策定しますが、場合によっては再手術による修正が必要となることもあります。

このようにいろいろな原因によって顎変形症が治りきらないことや顎変形症を再発することがあります。術後に行われる矯正によってある程度の修正は可能ですが、場合によっては再手術やプレートの交換などが行われることもあります。術後のケアも大きく影響するため、無理をしたりすることがないように注意します。

顎変型症の受けるうえで大事なクリニック選びのポイント

顎変形症を治療する上で重要なのはしっかりとした診断ができると言うことです。顎変形症はさまざまな症状があるため、一概に受け口や出っ歯などの簡単な診断では済みません。上顎骨が出ていることによる出っ歯なのか、下顎骨が小さいことによるものなのかで大きく治療方法が変わってきます。

また、顎変形症は手術だけでなく、術後の矯正も重要な治療の一つです。術前から術後に至るまでの治療計画をしっかりと立案できることやそれを適切にわかりやすく説明できることが重要です。値段にとらわれて納得のできないところで治療をしてしまうとあとで修正が必要になったり、望み通りの結果が得られないことなどが考えられます。

基本的に手術代は診療報酬で規定されているため大きく変わることありません。クリニックの選びは費用の比較ではなく、手術からアフターケアまでのサポートの充実、なにか不測の事態が発生した場合の対応力などを総合して選ぶ方が安心です。

下顎枝矢状分割法は術後のサポートが大切!

下顎枝矢状分割法(SSRO)は、顎変形症でも一般的に行われている術式なので、対応できる病院やクリニックは多くあります。いろいろと施設を選ぶ時には手術について重点を置きがちですが、本当に必要なのは術後のサポートです。しっかりとした食事が取れるようになるまで3ヶ月以上かかります。それは結果の良し悪しがわかるようになるまでにそれだけの時間を費やしてしまうと言うことです。

あとで元に戻したいと言っても修正が難しく、結果が出るまでに長い時間がかかるものなので慌てて決めることがないように、よく考えて治療を行いましょう。そのためには医療機関でしっかりと納得がいくまで説明を聞いてくることが大切になります。